風景と自由 天野健太郎句文集

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台湾文学翻訳家・天野健太郎の俳句とエッセイ

風景と自由
天野健太郎句文集

著者 天野健太郎
解説 斎藤真理子
発行 新泉社

四六判上製 224頁 
2000円+税
初版発行日 2020年10月14日


ボクシンググローブを干せ五月晴れ
記憶には蛙を踏んだ匂いとか
台湾の蜜柑を食べる種やさし
冬の雨ツァイ・ミンリャンが降らすよに
驟雨打つカフェの女が目を覚ます

俳句がいいところは、読み返すと(出来不出来はともかくとして)そのときの風景がすうっと思い浮かぶことだ。それは現実よりもずっとリアルで、写真より抽象的で、前後の時間が断片的に重なりあうような記憶の総合体だ。
——天野健太郎

人間には風景に惹かれる自由がある。なぜ惹かれたのかわからないこともある。わからないままにそこに立って、風景を見ている自由。わかるまで人と会いつづける自由。わからないかもしれないけれど、言葉を追い続ける自由。
——斎藤真理子

2018年に亡くなった台湾文学翻訳家・天野健太郎。陳浩基『13・67』、龍應台『台湾海峡一九四九』など中国語文学の話題作を日本に紹介し、多くの読者がその訳文を賞賛した。著者が死の直前まで詠み続けた俳句と、台湾エッセイを集成。韓国文学の翻訳者・斎藤真理子の解説を付す。


天野 健太郎(アマノ・ケンタロウ)
台湾文学翻訳家、俳人。1971年生5月6日まれ。1996年、京都府立大学文学部国中文専攻卒業後、2000年より国立台湾師範大学国語中心、および国立北京語言大学人文学院に留学。帰国後は中国語翻訳・通訳、聞文堂LLC代表を務め、台湾書籍や台湾文化を日本に紹介する活動をおこなった。2012年、翻訳家としてのデビュー作となる台湾の作家・龍應台『台湾海峡一九四九』が話題になり、その後、呉明益『歩道橋の魔術師』が日本翻訳大賞の最終候補となる。文芸、歴史、エッセイ、絵本とさまざまなジャンルの翻訳に取り組み、香港の作家・陳浩基『13・67』は日本でもベストセラーになった。2018年11月12日、最後の翻訳作品となった呉明益『自転車泥棒』の発行日から2日後に永眠。享年47。

斎藤 真理子(サイトウ・マリコ)
翻訳者、ライター。訳書にチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、ファン・ジョンウン『ディディの傘 』(亜紀書房)など多数。村松武司『増補 遥かなる故郷——ライと朝鮮の文学』(皓星社)の編集と解説を担当。


*サウダージ・ブックスの編集人が企画編集を担当しています。