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ブラジルの光、家族の風景 大原治雄写真集
¥3,190
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【新品ですが、表紙や帯に若干の傷み・汚れがあることをご了承ください。読むのに支障はまったくありません】 【2刷】 ブラジルの光、家族の風景 大原治雄写真集 著者 大原治雄 発行 サウダージ・ブックス 定価 2900円+税 176ページ B5判 並製 初版発行日 2016年4月9日 2刷発行日 2016年7月9日 ISBN978-4-907473-07-5 紹介文 大原にとって写真は、人々から彼に向けて預けられた人生に、責任を持って尊厳と美を与える行為にほかならなかった。 ——今福龍太(人類学者・批評家) 本書より 知られざる、ブラジル移民のアマチュア写真家・大原治雄(1909—1999年)。その写真に記憶されているのは、愛おしく宝物のような日々。カメラを手にしてはじめて撮影した、妻の面影——。 2016年、高知県立美術館・伊丹市立美術館・清里フォトアートミュージアムで「大原治雄写真展―ブラジルの光、家族の風景」開催。ブラジル屈指の写真史料アーカイヴズであるモレイラ・サーレス財団に作品が収蔵されている唯一の日本人作家、"Haruo Ohara"。その貴重なモノクロ写真180点を収録した、日本ではじめての写真集。 目次 「記録」と「記憶」——大原治雄のアルバムに思う 影山千夏 モレイラ・サーレス財団における大原治雄の写真作品 セルジオ・ブルジ 1. 移住地 2. コンポジション 3. 子どもたち 4. 家族 解説 「瞬間の歴史」を証す人 今福龍太 年譜 著者紹介 大原治雄/Haruo Ohara 1909年11月、高知県吾川郡三瀬村(現・いの町)に農家の長男として生まれる。 1927年、17歳で家族と移民としてブラジルに渡り、はじめサンパウロ州のコーヒー農園で働いた後、1933年、パラナ州ロンドリーナへの最初の開拓団として入植。1938年に小型カメラを手に入れ、コーヒーや果樹栽培の農作業の合間に趣味で撮影をはじめる。独自に研究を重ねながら技術を習得し、次第にカメラに没頭。1951年にはロンドリーナ市街地に生活を移し、「フォトシネクラブ・バンデイランチ」(サンパウロ)に入会。農業経営の一方、60年代後半まで国内外のサロンに積極的に参加。当時は無名のアマチュア写真家だったが、1970年代はじめから徐々に知られるようになり、地元新聞などで紹介される。 1988年、「ロンドリーナ国際フェスティバル」および「第2回クリチバ市国際写真ビエンナーレ」で、初の個展「Olhares(眼差し)」展が開催され、大きな反響を呼ぶ。1999年5月、家族に見守られながらロンドリーナで永眠。享年89。 2008年、日本人ブラジル移民100周年の機会に、遺族により写真と資料の一式が、ブラジル屈指の写真史料アーカイヴズであるモレイラ・サーレス財団に寄贈された。
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曙光 The Light of Iya Valley
¥2,090
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【初刷 完売しました】 曙光 The Light of Iya Valley 著者 宮脇慎太郎 発行 サウダージ・ブックス 定価 1900円+税 80ページ(カラー) B5判 並製 初版発行日 2015年9月15日 ISBN978-4-907473-06-8 紹介文 明日を生きる者よ、このすべてを受け継ぎなさい。霧の風景はそう私たちに告げる。私たちは、光を求めてゆく霧の子供なのである ——今福龍太氏(人類学者・批評家)絶賛 四国最深部の天空の集落に佇みながら想いにふけっていると、ふと雲が途切れ、強烈な太陽の光が射し込んで来た。その光は、街のものとはまるで別なものに見えた。もっと鮮烈で、こちらの肉体と意識にじかに入り込んでくるような、まるで命を持っているかのような剥き出しの裸の光だ。 ——本書より 四国最深部の天空の集落、徳島県祖谷。平家落人伝説で知られる山里の光と影、聖と俗、野生と人為、そのはざまを流れるもの——気鋭の写真家・宮脇慎太郎が祖谷の〈時〉を記録した、渾身の第一写真集。 撮影・編集・デザイン・印刷製本をオール四国で行った、「ローカル出版」の作品です。限定500部。 著者紹介 宮脇慎太郎(みやわき・しんたろう) 1981年、香川県高松市生まれ。写真家。大阪芸術大学写真学科卒業後、六本木スタジオなどを経て独立。大学在学時より国内外への旅を繰り返し、日本列島では聖地と呼ばれる様々な場所を巡礼。2008 年、東京から高松に活動の拠点を移す。「日常の中の聖なるもの」を含む風景やポートレートの撮影に取り組む。2012 年、仲間とブックカフェ・ソローをオープン。現在、季刊『せとうち暮らし』に「Turtle Island Stories」を連載中。 写真展 個展 「語り継ぐ島物語 Guardians」 MeiPAM 02(香川・小豆島、2015) 「剣山 Mountain High Gathering」 ハレとケデザイン舎(徳島、2015) 「剥離する祖谷の虚像と霊性」 なこちLIFE SHARE COTTAGE(徳島、2014) 「chillout & resonance」 Tokiwa Art Gallery(香川、2012) グループ展 「HUNGRY issue #3」 NEW CITY ART FAIR(ニューヨーク、2015) 「K-lovers photographers TOKYO」 ギャラリーコスモス(東京、2014) 「手紙が届く場所」 旧藤田外科
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幼年画
¥1,760
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【初刷 完売しました】 幼年画 著者 原民喜 発行 サウダージ・ブックス 定価 1600円+税 168ページ 46判変形 並製 初版発行日 2015年7月31日 ISBN978-4-907473-05-1 紹介文 「少年だよ」雄二はそう返事すると、古川君の肩へ手をかけ、二人は肩に手を組みあわせて歩いた。雨で洗われた礫の路が白く光ってつづいている。遠い世界のはてまで潤歩して行くような気持がした。 ——本書より 幼少期のこういった記憶を持つ人は少なくないと思う。しかし、原民喜はそれらの情景や会話、心理の細部まで詳細に記憶し、まるでいま目の前で起こっているかのように文章にしてみせるのだ。それも徹底して子供のままの視点で。……そこには、小さく静かな声で語ることでしか伝わらないような、透明な世界が広がっているように感じる。 ——田中美穂(蟲文庫) 解説より 遠藤周作や大江健三郎が絶賛した小説「夏の花」の作家が、原爆投下以前の広島の幼年時代を追憶する美しく切ない短編小説集——。広島・被爆70年という歴史の節目に、同地出身の詩人・小説家、原民喜(1905-1951)の文学を紹介。「三田文学」等で活躍し、原爆投下直後の広島の惨状を描いた名作「夏の花」で知られる作家・原民喜。戦後、自ら命を絶つ前に作家自身によって編まれた短編小説の連作「幼年画」をはじめて単行本化。 古書・蟲文庫の店主でエッセイストの田中美穂の解説を付し、原民喜の知られざる初期作品に新しい光をあてる。 目次 「幼年画」 貂 蝦獲り 小地獄 不思議 鳳仙花 招魂祭 青写真 白い鯉 朝の礫 「拾遺」 潮干狩り 解説 田中美穂 著者紹介 原民喜(はら・たみき) 1905(明治38)年、広島県広島市に生まれる。少年時代より、次兄と雑誌「ポギー」を発行するなど文学に親しみ、同人誌に詩や散文を寄稿する。18歳で慶応義塾大学文学部予科に入学し、上京。創作活動のかたわら、左翼運動にも関心を深める。その後、同大学の英文科に進学。主任教授は詩人・英文学者の西脇順三郎、卒業論文は「Wordsworth論」だった。28歳で永井貞恵と結婚し、千葉市に転居。1935(昭和10)年、コント集『焔』を自費出版。「三田文学」を中心に作品を発表する。 1944(昭和19)年9月、39歳の時に最愛の妻・貞恵を喪う。太平洋戦争開始後、1945(昭和20)年1月に広島に疎開し、8月6日に原爆被災。戦後ふたたび上京し、慶応義塾商業学校・工業学校夜間部の嘱託英語講師を務め、「三田文学」の編集と創作活動に取り組む。1948(昭和23)年、「夏の花」で第1回水上瀧太郎賞受賞、翌年小説集『夏の花』を能楽書林より刊行。1950(昭和25)年、武蔵野市吉祥寺に転居し、日本ペンクラブ広島の会主催の平和講演会に参加するため帰郷。1951(昭和26)年3月、自ら命を絶つ。享年45。没後、訳書『ガリバー旅行記』および『原民喜詩集』が刊行された。
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生きるためのサッカー ブラジル、札幌、神戸 転がるボールを追いかけて
¥1,782
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【帯はありません】 生きるためのサッカー ブラジル、札幌、神戸 転がるボールを追いかけて 著者 ネルソン松原 取材・構成 松本創 取材・解説 小笠原博毅 発行 サウダージ・ブックス 定価 1800円+税 240ページ 46判変形 並製 初版発行日 2014年6月18日 ISBN978-4-907473-04-4 紹介文 だけど、後悔はしていない。ぼくの行く先はボールが決める。ボールが転がり着いたところが、ぼくの生きる場所なんだ。 ——本書より ブラジル・日本サッカー交流史をめぐる貴重な証言を収録した、著者初の自叙伝! 元ヴィッセル神戸ユース監督の日系ブラジル人2世のサッカー指導者である著者は、セルジオ越後、ラモス瑠偉らとともに、J リーグ発足以前の日本に”ブラジル・サッカー” を伝授。”フットサル”をはじめて日本に紹介した立役者のひとりとしても知られる。数多くの選手を指導・育成し、教え子には京都サンガF.C. 元日本代表の山瀬功治らがいる。 「サッカーには勝つよりも、大切なことがある」。母国ブラジルとのサッカー文化の違いを受け入れながら日本でキャリアを積み、阪神淡路大震災やクラブチームの経営不振などのさまざまな難局を、「生きるためのサッカー」への情熱によって乗り越えていく。サッカーファンや指導者はもちろん、先行きの見えない人生に思い悩むすべての人に捧げる”不屈”の指導者のライフストーリー。 ブラジルのサッカーのみならず、スポーツ教育、日本人移民の歴史に関心のある読者にもおすすめの一冊。 目次 序文 転がるボールを追いかけて 第一章 はじまりのサッカー——サンパウロ 第二章 家族の中の移民史 第三章 ブラジルから来た留学生——札幌 第四章 ぼくはやっぱりサッカーをやりたい 第五章 指導者という生き方——札幌~倉敷 第六章 傷つき、立ち上がる街で——神戸 第七章 生きるためのサッカー——二つの国を生きて 関連年表 解説 ボールに導かれる旅 小笠原博毅 著者紹介 ネルソン松原/Nelson Matsubara サッカー指導者。1951 年ブラジル・パラナ州ロンドリーナ生まれ。2 歳の時にサンパウロに移る。1973年から75年、日本ではじめてのブラジル人サッカー留学生として札幌大学に留学。この間、フットサルの普及活動やルールブックの翻訳にも携わる。ブラジルに帰国しサント・アンドレ体育大学を卒業後、スポーツ関連の仕事に就く。1988年に札幌のサッカー指導者として再来日。その後、川崎製鉄サッカー部ヘッドコーチ、ヴィッセル神戸ユースコーチおよび監督を歴任。サッカー日本代表やJリーガーを含む数多くの選手を育成した。現在は、神戸スポーツアカデミーで市民にサッカーやフットサルを指導するかたわら、NPO法人・関西ブラジル人コミュニティのスタッフもつとめる。2018年逝去。 松本創 (まつもと・はじむ) 1970年生まれ。神戸新聞記者を経て、フリーランスのライター/編集者。関西を拠点に、政治・行政、都市や文化などをテーマに取材し、人物ルポやインタビュー、コラムなどを執筆している。著書に『ふたつの震災―[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(西岡研介との共著、講談社、2012)。 小笠原博毅(おがさわら・ひろき) 1968年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部博士課程修了。社会学PhD。研究テーマはスポーツにおける移動と人種差別の文化。共編著に『サッカーの詩学と政治学』(人文書院、2006)、編著に『黒い大西洋と知識人の現在』(松籟社、2009)など。現在神戸大学大学院国際文化学研究科教員。
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焚火かこんで、ごはんかこんで
¥1,485
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焚火かこんで、ごはんかこんで 著者 どいちなつ 発行 サウダージ・ブックス 定価 1500円+税 88ページ(カラー) B5判 並製 初版発行日 2013年12月25日 ISBN978-4-907473-03-7 紹介文 焚火のあとに食べるごはんとその時間。それはきっと豊かなひとときで、私たちのつながりを深くしてくれることでしょう。 ——本書より 瀬戸内の島で、焚火を囲んでおしゃべりする食のこと、暮らしのこと、旅のこと、好きなものたちのこと。 淡路島在住の料理家・どいちなつさんの語り下ろしのエッセイと、「焚火のあとでいただきます」というコンセプトで、主食や野の恵みを活かしたシンプルなごはんのレシピを紹介します。 目次 はじめに 第一章 焚火かこんで いっしょにごはんを食べようよ みんなで食べるとおいしいね すみかを探す旅の途中で 私の好きなものたち 第二章 ごはんかこんで 米 豆 芋(さつまいも、じゃがいも、里芋) とうもろこし 木の実 オリーヴオイルとハーブ はちみつ くだもの どいちなつさんおすすめの本 著者紹介 どいちなつ 料理家。 淡路島に移り住みました。 こころとからだにやさしいごはんを提案しています。 著書に『料理と暮らしのやさしいレシピ』(宝島社刊)ほか。 料理教室「季節の台所」を開いています。 www.doichinat su.com
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「一人」のうらに 尾崎放哉の島へ
¥1,980
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【帯はありません】 「一人」のうらに 尾崎放哉の島へ 著者 西川勝 発行 サウダージ・ブックス 定価 2000円+税 232ページ 46判 並製 初版発行日 2013年10月19日 ISBN978-4-907473-01-3 紹介文 「一人」で生きるとはどういうことか。これほどその本質に迫った本はない。 ——植島啓司氏(宗教人類学者)絶賛 「咳をしても一人」の句から始まった放哉の島への旅は、「一人」にしがみついているぼく自身からの旅でもあった。小豆島で放哉を想いつつ、自分をふり返る。「一人」ということばをつぶやくと、とたんに「一人」のうらから別の声が聞こえてくる。 ——本書より 咳をしても一人(尾崎放哉)。臨床哲学者の著者が、絶望の日々に救いを求めた放哉の俳句。放浪の俳人の「孤独」に応答し、生と死を深く見つめる思索の旅を綴るエッセイ集。小豆島出身の心理学者・浜田寿美男との対談を収録。 表紙カバーは 【リバーシブルタイプ】。カバーの裏面にも、画家・絵本作家として活躍する nakaban作のオリジナル作品がカラー印刷されています。 カバー裏の画について 「雨の椿に下駄辷らしてたづねて来た」 少し寂しくて余韻を豊かにたたえた俳句から、放哉さんが小豆島で過ごした時間を想いました。すると何故か山椿の絵が描きたくなりました。島の道に咲く、峻烈な赤い花。花のあかるさに対して葉の緑は暗くなければならないと思いました。 ——nakaban(画家) 目次 プロローグ 蚊と放哉 「一人」のうらに 尾崎放哉の島へ 風の中の声 小豆島と放哉 浜田寿美男との対話 エピローグ 放哉の笑い 資料 尾崎放哉年譜 著者紹介 西川勝(にしかわ・まさる) 1957年、大阪生まれ。専門は、看護と臨床哲学。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授。高校卒業後、精神科・透析治療・老人介護の現場で看護士や介護士として働く。一方で関西大学の二部で哲学を学び、後に大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。現在は「認知症コミュニケーション」の研究を行いつつ、哲学カフェやダンスワークショップなどの活動にも取り組む。著書に『ためらいの看護』(岩波書店)、『となりの認知症』(ぷねうま舎)など。
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瀬戸内海のスケッチ 黒島伝治作品集
¥1,980
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【帯はありません】 瀬戸内海のスケッチ 黒島伝治作品集 著者 黒島伝治 選・解説 山本善行 発行 サウダージ・ブックス 定価 2000円+税 248ページ 46判 並製 初版発行日 2013年10月9日 ISBN978-4-907473-00-6 紹介文 無花果がうれた。青い果実が一日のうちに急に大きくなってははじけ、紅色のぎざぎざが中からのぞいている。人のすきを見て鳥が、それをついばみにやってくる。……ここ二三年来夏の暑気に弱くなった私は毎年、夏祭りの頃になると寝こんで起きあがれなくなる。そして、この秋風に吹かれだして、はじめてほっと息をつく。 ——本書より 私は、黒島伝治の小説を読み始めると、その呼吸、リズムにからだをあずけるのが気持ちよく、気がつけば、からだがその物語の中にどっぷり浸かっているのだった。……会話の中にも抒情を感じるし、会話がつながっていくところで生まれる衝突や不安なども、その小説を深くしているように思う。 ——山本善行 解説より 香川県・小豆島に生まれ、シベリア出兵から帰還後、小林多喜二にならぶプロレタリア文学の旗手として活躍し、病のため若くして逝った小説家、黒島伝治(1898—1943)。京都の「古本ソムリエ」、山本善行が選んだ珠玉の短編作品アンソロジー。 表紙カバーは 【リバーシブルタイプ】。カバーの裏面にも、画家・絵本作家として活躍する nakaban作のオリジナル作品がカラー印刷されています。 カバー裏の画について 小豆島の旅の夜、遠い波の音を聞きながら小説「瀬戸内海のスケッチ」を読みました。冒頭数行の内に魅了されました。暗い海のうねり、島民のカリカチュア的な会話。遠く、ぼうと浮かびあがる古き交易航路、そして僅かな一行にのみ訪れる静寂。 ——nakaban(画家) 目次 初期文集より 瀬戸内海のスケッチ 砂糖泥棒 まかないの棒 「紋」 老夫婦 田園挽歌 本をたずねて 僕の文学的経歴 雪のシベリア 解説 山本善行 著者紹介 黒島伝治(くろしま・でんじ) 1898年、香川県小豆郡苗羽村の自作農の家庭に長男として生まれる。地元の苗羽小学校、内海実業補習学校を卒業後、醬油会社に醸造工として入るが1年ほどで辞める。その頃から文学修行をはじめ、黒島通夫というペンネームで雑誌に投稿。19歳の時に東京に出て、建物会社や養鶏雑誌社で働きながら小説を書き始めた。21歳で早稲田大学高等予科文学科に入学。第2種学生だったので徴兵猶予が認められず、召集されてシベリアへ出兵。1922年、病を得てウラジオストックから小豆島へ帰郷する。 1925年、27歳のときに2度目の上京。同年、雑誌「潮流」7月号に掲載された短編小説「電報」が好評を得て、プロレタリア文学者としての道を歩み始める。故郷である小豆島での生活を描いた「農民もの」、そしてシベリアでの戦争体験をもとにした「シベリアもの」と呼ばれる数多くの作品を発表。代表作に「渦巻ける烏の群」など。生前に刊行された単行本は『豚群』、『橇』、『氷河』、『パルチザン・ウォルコフ』、『秋の洪水』、『雪のシベリア』、『浮動する地価』。中国における日本軍の済南事件を取材し、1930年に発表した長編小説『武装せる市街』はただちに発禁となった。1933年、35歳の時に喀血し、病気療養のため家族とともに帰郷。小豆島で執筆と読書をつづけ、1943年、享年44歳で逝去。 山本善行(やまもと・よしゆき) 1956年、大阪生まれ。関西大学文学部卒業。エッセイスト、「古書善行堂」店主、書物雑誌「sumus」代表。著書に『関西赤貧古本道』(新潮社)、『古本のことしか頭になかった』(大散歩通信社)、『定本 古本泣き笑い日記』(みずのわ出版)など。古本ライター・書評家の岡崎武志との共著に『新・文學入門』(工作舎)、選者として上林暁傑作小説集『星を撒いた街』(夏葉社)と上林暁傑作随筆集『故郷の本箱』(夏葉社)の出版に係る。